デザインで問題を解決しよう|デザインでゴミの分別をしやすくしよう
デジタルゲーム学科の「プロジェクト実習」は、様々なテーマについて制作を行う1回生向けの授業です。
今年も「デザインで問題を解決しよう」というテーマで、学内環境の観察を通して、期間内に新しい価値を創造して提案することを目的とした活動(=プロジェクト)を行いました。
デザイン思考とは、フォトショップを使ったデザインを考えることなどとは違い、対象とその周辺をよく観察し、問題を発見し、視覚化し、伝えるというデザインのプロセスを利用して、クリエイティブなアプローチから、様々な問題を解決しようとする思考方法です。
ということで、車いすに見立てた台車で学内を移動してみたり、蛍光灯のスイッチパネルの分かりにくさを考えてみたり、色々な観察を行い、学内のゴミの分別に注目することにしました。

大学のキャンパスには色々な種類のゴミ箱がありますが、「ペットボトル」専用のゴミ箱がまだ少ないのが現状です。
清掃スタッフの方達がいつも手で仕分けをし直してくれていて、なんとかしたいなぁということで今回のテーマが決まり、さっそく清掃スタッフの方や大学関係者の方にインタビューを行い、また学生を対象にアンケートも行いました。
インタビューでは、ゴミの再分別にとても時間が掛かっていることや、飲み残しが入ったペットボトルや缶、カップ麺が多く、ゴミがとても重くなっていることを知りました。
学生アンケートでは、57%が「その他・一般」のゴミ箱へ、31%が「ビン・カン」のゴミ箱に捨てていることが分かりました。
このことから、ペットボトル専用のゴミ箱がない場合には、どちらに捨てるかは人それぞれであることが分かりました。(アンケート対象:299名)
清掃スタッフの方から「現状のゴミ箱でペットボトルをどちらかに分別するなら、ビン・カンのゴミ箱に分別してもらう方が作業をしやすい」という意見も聞きました。
そこで、現在のゴミ箱をそのまま利用しつつペットボトルをビン・カンのゴミ箱に分別できるようにするには、「その他」「一般」のゴミ箱のステッカーを併せて改善してはどうかと考えました。
インタビューとアンケートを元に、ペットボトル購入から捨てるまでのプロセスを分解しながら、分別されていない原因や解決法を探りました。
また、世界のゴミ問題についての情報を見て、自分たちが取り組んでいる問題が何に繋がっているのかを考えました。
情報の単純化&図と地のコントラスト
ゴミ箱の表示の改善のポイントは「情報の単純化」と「図と地(背景)のコントラスト」の2点です。
現在の表示を見直してみると、大きな三角形、人物の絵、ゴミが放り投げられている軌跡など、ひと目で内容を伝えるには複雑な図が組み合わされているものがあります。
以前は、多くの自治体で「燃えるごみ(可燃ごみ)」「燃えないごみ(不燃ごみ)」「粗大ごみ」という分別が一般的でした。
単純に火がつくかどうかで分けられていた「燃えるゴミ」の表示から、容器包装リサイクル法の制定などにより、燃えるものであっても焼却処分せず、分別して再資源化するようになりました。
例えば、新聞紙や雑誌などの古紙類や、古着などの布類、ペットボトルなどは「資源ごみ」、紙くずや台所ゴミなどは「燃やすゴミ」「燃やせるゴミ」などに名称を変更している自治体が多くなっています。
そこで、火がつくから燃えるゴミということではなく、「燃やしてしまっていいゴミなのか、資源なのか」ということを意識させる言葉を使うことで、ペットボトルの分別を促進できるように「もやすゴミ」という表記にしてはどうかと考えました。
情報もできる限り減らし、紙をひねってつぶしたピクトグラムと、「もやすゴミ」の表記だけにしました。
また配色の問題についても考えました。
例えば下の例のように、黄色の背景に白で情報を表示するなど、図と背景のコントラストが著しく低く、可読性が損なわれているものもあります。
こちらは図と背景のコントラストを高くすることで可読性を向上させ、一目で分かるような表示に改善するデザインを考えました。
この試作デザインを大学にプレゼンテーションしたところ、大変気に入っていただき、この度、学内で採用していただけることになりました!
これで少しでもゴミの分別が促進できればと思います!
このことを早く多くの学生に知ってもらうために、オリジナルキャラクターを考案して、SNSや学内デジタルサイネージを使った情報発信を考え、現在準備中です。