kuralab.とは?


kuralab.(クララボ)は、大阪電気通信大学 総合情報学部 ゲーム&メディア学科 ヴィジュアルデザイン研究室の愛称です。

kuralab.ではデザイン、印刷、デジタルファブリケーションをテーマに、デジタルモノづくりをはじめとする幅広いアプローチを行っています。誰もがデザインが持つ問題解決の力や伝える力を理解し、活用することで、新たな発想のモノづくりが実現するかもしれません。

デザインが変えるコミュニケーション
多様な出会いで身につけるデザインの力

デザインというとみなさんはどんなことを思い浮かべますか? カッコイイものやオシャレなものを作ることや、好きなライトノベルやアニメ・マンガなどのキャラクターを描くことだと思う人もいるかもしれませんね。
商品のイメージを伝えたり、文章やデータ数値だけでは伝わりにくいことを分かりやすく表現することもデザインの役割ですね。
たとえば、イラストレーションという言葉の語源は、ラテン語の「照らす」「明るくする」という意味の語で、これが転じて「分かりやすくする」という意味になったものだそうです。
図や絵を使って話を分かりやすく説明するデザインやイラストは、アニメやゲームだけに必要な表現ではなく、教育、医療、政治など社会のあらゆる分野で必要な技術だと思いませんか?

デザインの基礎を学んで
クリエイティブなアプローチで問題を解決

例えば、学内での「トイレの緊急呼び出しボタンを間違って押してしまう人が多い」という問題があった時のことですが、調べると呼び出しボタンは白い背景に緑の文字で「呼出」、水を流すボタンは黄色の背景に黒い文字で「流す」と書かれていました。
私たちは信号や標識などで「緑+白はOK, Go!」「黄+黒は注意・危険」で、などの色と意味の組み合わせを既に学習して知っていますよね。ところが、色と意味がいつもと違う組み合わせになっている指示を見ると混乱してしまう可能性があります。
そこで、呼び出しボタンの色を「赤+白」に、水を流すボタンを「青+白」にデザインし直したところ、ボタンの押し間違いが0件になりました。

トイレの緊急呼び出しボタンを間違って押してしまう

このように、観察して集めた情報を整理し問題解決につなげる考え方をデザイン思考といいます。「なぁんだ、そんなことか」と思ったかもしれませんが、見やすいスライドを作ったり、分かりやすいゲームのUIをデザインする時にも、多くの人に正しく情報を伝えられるデザインを考えることが、オシャレさやカッコ良さと同じくらい大切になってきます。
ゲーム&メディア学科の「ゲームを拡げる」という言葉を見て、「ゲーム実況して、みんなにゲームを見せること」と思う人も多いのですが、ゲームに関わるさまざまな学習を通して、まずはみなさんの視野を広げて欲しいと思っています。

デザインは専門家のためのものではなく
誰にでも必要なリテラシー

デザインの技術や知識は一部の専門家だけのものでななく、現代においては誰にでも必要なものだと考えています。
授業では、デザインの基本である色・形・文字・配置から学習し、研究室では、伝わらないデザインを伝わるデザインに変える「社会に役立つ提案」を実践しています。

パーキンソン病は、脳のドパミン神経細胞が減少することで筋肉の硬直やふるえなどの運動障害が起こる病気で、日本では難病に指定されています。外出先で発作が起きた場合、携行薬を服用すれば症状は治まりますが、発作が起きてしまうと体が動かすことができず、薬を取り出すことができなくなります。発作が起こった時に具体的な手助けが必要なことを周囲に伝えるためのツールとして、全国パーキンソン病友の会・広島支部が制作した「パーキンソン病SOSカード」というものがありました。

このカードのデザインが「デザインの視認性や可読性が低く、情報を瞬時に読み取りにくい」ことに気づき、「デザイン上の問題を改善することで、意図を伝えやすくできるのでは」と考え、当時のゼミ生が卒業制作としてこの課題に取り組み、広島支部に対して新たなデザインを提案しました。
制作にあたっては、初版デザインの情報が理解しにくい(伝わりにくい)原因について考え、①文字などの図と、その背景のコントラストが低いこと。②様々な文字サイズ・書体で書かれていることで、どれが最も大事な情報かわからなくなっている、といった問題点を改善するために、背景とのコントラストを明確にし、書体、文字サイズ、位置にルールを作ることで、情報のグループを理解しやすくデザインし直しました。

全国パーキンソン病友の会・広島支部「パーキンソン病SOSカード」

また、患者さんには高齢者が多く、発作時には体を動かせないため、ネックストラップが首や腕に巻き付く危険性についても考え、缶バッジや腕章などのカード以外のツールも提案しました。デザインしたSOSカードは、現在も広島県で使い続けられています。

手を動かして考える
モノをつくって考える

手を動かして考える

3Dプリンターやレーザー加工機などのデジタル工作機器だけでなく、紙やインクなどのリアルな材料に向き合って頭と手を動かすことで、画面の中だけにあったものがモノに変化するプロセスの面白さを感じてもらい、アイデアや発想のきっかけになることを期待しています。
そして、好きなものを作って楽しかったという経験だけで終わらせず、学生同士でアイデアを出しあったり、グループワークの中で自分のデザインの理由や目的を他人に伝えたりするトレーニングを通して、クリエイティブな問題解決方法を開発する力を身につけてほしいと思っています。