ラーメンの残り汁を専用ゴミ箱に捨ててもらうためのピクトグラム
デジタルゲーム学科の「プロジェクト実習」は、様々なテーマについて制作を行う授業です。
今年も「デザインで問題を解決しよう」というテーマで、学内環境を観察して、授業期間内に新しい価値を創造して提案することを目的とした活動(=プロジェクト)を行いました。
デザイン思考?
デザイン思考とは、例えばフォトショップで絵を描くというような制作プロセスの一部ではなく、対象とその周辺をよく観察し、問題を発見し、視覚化し、伝えるというデザインのプロセスを利用して、クリエイティブなアプローチから、様々な問題を解決しようとする思考方法です。
カップ麺の残り汁で手洗い場の排水口が詰まっている
学内を見て回ると、食堂のゴミ箱脇にある手洗い場の排水口が、カップ麺の残り汁で詰まっている現場を見つけました。
実はよく見ると、洗面台には「ここにラーメンの残り汁などを捨てないでください」という張り紙があって、そして直ぐ近くには「食べ残し・飲み残し専用のゴミ箱」があるではありませんか!
うーん、でもこのマーク、ちょっと小さくて見にくいかもしれませんね…。
張り紙と専用ゴミ箱があるのに、どうして排水口にラーメンの残り汁を捨ててしまうのか。
まずは問題点から考えてみることにしました。
「排水口だから大丈夫そう」と思うのではないか、「張り紙や専用ゴミ箱が見えにくいのではないか」などの意見が出ました。
インタビューで得られた回答
現状をもっとよく知るために、清掃スタッフの方にもインタビューしてみました。
- 張り紙などで対策しているが、結構な頻度で詰まっている。
- 詰まっていると掃除の時間がかかってしまう。
- 夏場などは臭いがきつくなって困る。
- 「食べ残し・飲み残し」の専用ゴミ箱はあまり使われていない様子。
- トイレに流すのも良くない。油で便器が汚れて、掃除道具も油で汚れる。酷い時は下水管が油で汚れて詰まり、工事をして交換しなくてはならなくなる。
なるほど、トイレに流すのもやめた方がいいんですね。
どうしたら気づいてくれるのか
同じような食べ残し・残り汁 廃棄の問題をインターネット検索をしてみると、オフィスや他の学校でも「残り汁 廃棄禁止のステッカーを貼る」とか「ゴミ箱に何を捨てるべきか細かく表示して、分別を明確にする」とか「ラーメンの残り汁は片栗粉で固めてから捨てる」などの取り組みをしている例を見つけました。
メンバーからは主に「手洗い場を目立たせる」「張り紙をもっと目立たせる」というアイデアが出ました。
アイデアスケッチで意見交換
アイデアを実際に形にする前に、アイデアスケッチを描いて、互いに気づいたことを付箋に書いて貼ってみんなで意見交換をしました。
ところでアイデアスケッチを描くのって「絵が苦手だから下手だから」と敬遠していませんか?
絵が上手い必要はありません。
それよりはっきり描くのがポイントです。下の左右のスケッチでは、右のスケッチの方がぱっと目が行きますよね?
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使う道具
- 水性サインペン(黒)
- コピック(ハイライト用と影用2色)
- シャープペンシル、ボールペン、蛍光ペンの文字は、壁に貼った時に細かったり薄かったりしてはっきり読めません。
描き方
- 紙の真ん中に、人が実際に見たり触ったりするものを描く。
- アイデアの中で注目すべきところにハイライトの色を塗る
- 影をつける
- 太い線で輪郭を付ける。(内側の線はなぞらない)
- 何の絵か分かるように件名を書く
- 絵の説明を簡潔に書く
いよいよデザインと設置へ
アイデアをまとめ、大学に対してプレゼンテーションをしました。
その中で整理されたのは、
- はっきりと見やすいサインに変更する。
- 禁止だけでなく、どうしてダメなのか、ということも示す。
ということでした。
大学との調整の結果、このような張り紙を設置することにしました。
廃棄禁止の張り紙は、洗面台の下ではなく、目の前になる位置に設置し、専用ゴミ箱のサインは、大きく、シンプルで見やすいものにしました。