タイプライターに触れる──1960〜70年代(推定)のOLYMPIA社製WERKE AG.で「書く」を体感する
グラフィックデザインの歴史を学ぶ授業の一環として、実物のタイプライターに触れる機会を設けました。
使用したのは、OLYMPIA WERKE AG. WILHELMSHAVENと刻印された、ドイツ製のポータブルタイプライターです。鉄製のボディにオフホワイトの塗装が施された、コンパクトながらもモダンなデザインが特徴的です。
このモデルは、外観や製造元の情報から1960年代半ばから1970年代初頭にかけて製造されたものと推定されます。
当時のOLYMPIA社は、ウィルヘルムスハーフェンに拠点を置き、実用性とデザイン性を兼ね備えたタイプライターの製造で知られていました。

書く動作を再認識する体験
実際にタイプすると、現在のキーボードとはまったく異なる操作感があります。
10本の指を使って打とうとするとタイプヘッドが重なってしまい、スムーズに印字できません。
人差し指で力を加えながら一文字ずつ確実に打つ必要があり、入力には一定の時間とリズムを要します。
キーを打ち込むたびに、「バチン」と響く音とともにハンマーがインクリボンを打ち、文字が紙に印字されます。
作動の仕組みが視覚的にも分かりやすく、「書く」という行為がどのように機械的に処理されるかを実感できます。
削除できない文字と書く判断
タイプライターでは、入力ミスを削除できません。
一文字ごとの入力が即座に紙へ反映されるため、あらかじめ打つ内容を考えながら操作する必要があります。
過去の道具の構造や使用感に触れることで、現在のテキスト入力環境との違いや、表現手段としての機械のあり方を比較する手がかりを得ることができました。



