絞りとシャッタースピード
デザインTips

絞りとシャッタースピードの関係


デジタル一眼カメラで撮影するときに、絞りとシャッタースピードの関係を理解すると、ピントが合う範囲やスピード感を意図的に変えて撮影することができます。
デジタルカメラのAとSのモードで、絞り値やシャッタースピードを変え、見え方にどんな違いが出るかを体験しました。

適正露出?

絞りとシャッタースピードの関係コップにちょうど1杯の水の量を入れようとする場合、蛇口を細く開けば一杯になるまでに長い時間がかかり、大きく開けば早く一杯になりますが、どちらもコップを水で満たすことができます。
ぴったりの量を、写真では、像を正しく得るための適正露出と言います。
ここでは、コップが溢れるほどの量だと、光が入りすぎて明るすぎる写真になり、水が足りないと、光も足りないので暗い写真になる、と考えてください。
適正を得るためには、シャッタースピードと絞り値の組み合わせを変えて調整します。

Aは絞り優先モード

絞りとは、光を取り入れる穴の大きさのことです。
目の瞳孔のように、穴が大きいと光がたくさん入り、穴を小さければ光が少しになります。
Aモードでは、絞り値を決めると、カメラがシャッタースピードの適正値を自動設定してくれます。

カメラでは、穴を通って画像素子に当たる光の量と時間で画像の見え方が変わります。
蛇口の水をコップに注ぐ様子で例えると、コップ一杯に水を満たす量が必要とすると、蛇口を細く開くと一杯になるまでに時間がかかり、大きく開くと早く一杯になります。
どちらも、コップを水で満たすことができますが、この違いによって得られる像の見え方が変わります。

絞りとシャッタースピードの関係
絞り値:f16
穴が小さいので、入ってくる光の量は少ない。

絞りとシャッタースピードの関係
絞り値:f4
穴が大きので、一度にたくさんの光が入ってくる。

Sはシャッタースピード優先モード

シャッタースピードとは、シャッターが開いている時間のことです。
Sモードでは、シャッタースピードを決めると、カメラが絞りの適正値を自動設定してくれます。
絞りとシャッタースピードの関係
蛇口の水をコップに注ぐ様子で例えると、短い時間しか開かなければ水は少ししか入りませんが、長い間蛇口を開くとコップには沢山水が入ります。
シャッタスピードが早いと、一瞬の光を切り取るため、動いているものが止まって写ります。
逆に、シャッタースピードが遅いと、動いているものがブレて写ります。

動いているものをブレないように撮影したい → シャッタースピードを早くする

水しぶきが止まったように写っていますね。
絞りとシャッタースピード

動いているものをブレさせて動きを強調したい → シャッタースピードを遅くする

水しぶきがブレて、勢いよく水が出ているように見えます。
絞りとシャッタースピード

絞り値とシャッタースピードの組み合わせで何が起きるの?

絞り値を大きくすれば穴が小さくなるので、それだけ撮像素子上に写る像は暗くなりますが、その分だけシャッタースピードを遅くすれば適正露出にすることができます。
逆に、絞り値を小さくしてシャッタースピードを速くしても適正露出にすることができます。
つまり適正露出になる絞り値とシャッタースピードの組み合わせは何通りもあります。
しかし、この組み合わせの違いで見え方に大きな差が出ます。
それが被写界深度です。

被写界深度(ひしゃかいしんど)?

ピントを合わせた位置に対して、その前後のピントが合っているように見える範囲を「被写界深度」といいます。
スマートフォンのアプリなどでは、像に後からエフェクトを掛けて画像をぼかすことがありますが、一眼レフカメラでは、絞り値を変えることで作る被写界深度をコントロールします。

Aモードで絞り値を変えて撮影したところ、こんな結果を得ることができました。

絞り値を高くする(穴を小さくする) → 手前も奥もピントが合う

穴を小さくすると、ピントを合わせた距離の前後にも広くピントが合うようになります。これを被写界深度が深いと言います。
絞り値が高いので、シャッタースピードは自動的に遅く設定されています。
絞りとシャッタースピード

絞り値を低くする(穴を大きくする) → 背景や手前がボケる

逆に、穴を大きくすると、ピントを合わせた距離以外はピントが合わずボケています。これを被写界深度が浅いと言います。
絞り値が低いので、シャッタースピードは自動的に早く設定されています。
絞りとシャッタースピード